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ビル・エヴァンスについてのいくつかの事柄 改訂版 中山 康樹 河出書房新社 256ページ

ジャズピアニスト、ビル・エヴァンス。
その虚像と実像。
著者の文体は、辛辣であるが温かい。
初めて読んだ、ジャズ関連の本。

ジャケットで見るエヴァンスは、神経質でストイックで求道者のようだが、実際に会ってみるとそのギャップに戸惑う。
温和で、ユーモアもあり思いのほか饒舌でもある。
『ポートレイトのほとんどで、私は微笑んでいるかリラックスしている。だがレコード会社やマスコミはシリアスな表情をの写真を使いたがる』

力がありながら、レコードの売り上げは当初芳しくなく認められてはいなかった。
ジャズクラブで、一日3回のステージをこなし、ギャラが10ドル!
それをポケットにねじ込んで帰路につく毎日。
ライブ録音と言えば聞こえは良いが、ジャズクラブもジャケットに店名が入れば宣伝になる、おまけにギャラはレコード会社と折半、売れるかどうか判らない録音でレコード会社もスタジオ費用が浮く。
超売れっ子は別として、それが普通のこと。

エヴァンスには悪癖があった。
強度のドッラグ依存症。

ヨーロッパや日本での人気がどんどん上がっても本国のアメリカでは、イマイチ。
マネージャは世界ツアーをどんどん組み込みエヴァンスの名は知られるようになっていく。
当然ギャラも増えるが、悪癖のため借金に追われる始末。

テニスで史上初のグランドスラムを達成したドン・バッジはジャズファンでエヴァンスのファンでもあった。
あるジャズクラブ(ヴァンガード・数々のライブ録音がある)を訪れたバッジはエヴァンスに自己紹介をされる。
「また聴きにきて下さい」
数日後、またヴァンガードを訪れると近づいてきたエヴァンスは
「20ドル、貸してもらえませんか」
ドラッグだなとピンときたが
「これで足りるかい?」
「たぶん」

バッジは信じられなく、とても悲しかったと述懐している。

むくんだ指は隣の鍵盤にあたりミストーンを生じる。
自分の体が異常をきたしているのに気付かないはずは無い。

周りの忠告に耳を貸さずライブを続け、ついに弾けなくなり3日間のライブ予定をキャンセル。
代役が努めライブの終わった次の日トリオのメンバーがアパートに行き強引に病院に連れて行く。
入院したその次の日、1980年9月15日、ビル・エヴァンス他界、享年51歳。

悪癖が止められない自分への嫌悪、近しい人達の衝撃的な自殺などが破滅志向に向かわせたものか。

残された録音から聴く事の出来るクリアで繊細なピアノの音色、創意に富んだアレンジとインター・プレイ(アドリブソロの掛け合い)
その音を紡ぎ出した人間の生き様 ..... 。

一人のジャズメン、ビル・エヴァンスからモダンジャズの世界に入る。
初めて知る事に、どんどんハマっていく。

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鈴木 豊

Author:鈴木 豊
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