2017 / 06
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魅力的な原作が複数映像化された例は数しれません。
年末恒例の「忠臣蔵」はじめ「新選組」や「平家物語」。
初めに感動した作品で後から同じ人を感動させる作品のハードルはとても高くなります。

近々の例ではNHK BSの『新選組血風録』。
初めて見た方と私との感じ方には多分相当の開きがあるでしょう。
いまだに『何だあのラストは』と憤慨しております。

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それでもって『モールス』(原題:Let me in )と『ぼくのエリ 200歳の少女』。



初めに『ぼくのエリ』に感動された方は『モールス』に辛口になるようです。
それを認めながら、独断と偏見のレビュー。

まず、2作品とも高い評価を得られたのは主役の2人に恵まれたこと。
『ぼくのエリ』では、時に年かさにも中性にもみえるエリと、いかにもひ弱そうなオスカル。
たいして『モールス』では、完全に美少女であるアビーと、ひ弱ながら強い目力を持つオゥエン。

特にアビーを演じたクロエ・グレース・モレッツは、前作『キック アス』(未見、予告編のみ)の2丁拳銃ぶっ放し殺りまくるアクション全開の「Hit Girl」役からは想像もできない深い謎と憂いを見事に演じている。
楽しみな12歳ではある。

~以下にはネタバレが含まれますが核心は明かしません~

原作と『ぼくのエリ』にたいして『モールス』が決定的に違う立脚点は父親(本当は父ではない)の扱い。

『ぼくのエリ』のホーカン(父)は、エリの魅力に惑わされた異常性倒錯者。
ナボコフの『ロリータ』別ヴァージョンである。
エリに初めて会ったのも中年の時。
エリへの奉仕は下心があり、エリも魅力をうまく使って「人狩り」をさせる。

対して『モールス』のトーマスは、徹底的に良い人(「生き血狩り」をする「良い人」も変だが)。
アビーに会ったのもオゥエンと同じ頃。
アビーへの奉仕も下心など無い。

この設定の違いが、ラストの切なさにも微妙な違いを生じさせる。

またエリを追いつめるのは、友人と恋人を殺されたラッケ。
職を持たず、親の残した資産を売り食いつないでいる薄汚れたオヤジ。
対して、アビーを追いつめるのは敏腕の刑事である。

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雪景色の引き画面の中を救急車とパトカーが疾走して来る。
中では強い酸を浴びた男の患者がのたうち回る。
この時点で、この男が誰だかわからない。

画面は2週間前に戻る。

いじめられっ子のオゥエンは、家庭でも離婚調停中の母との2人暮らしでおちつかない。
そんななか、隣に雪のなかを裸足で歩く少女とその父とおぼしき二人が引っ越して来る。
夜更け、オゥエンは学校でいじめられた腹いせにマンションの中庭の木をいじめっ子に見立て、ナイフでめった刺しにしている。。
「何してるの?」
振り返ると隣に越してきた少女がジャングルジムの上に立っている。
隣に住んでいることを話すと「わるいけど、友達にはなれない」と告げ去っていく。
友達のいないオゥエンは次の日の夜もルービッックキューブを持ってジャングルジムで一人遊んでいる。
そこへ昨日の少女が現れ、ルービッックキューブに強い関心を示す。
パズル好きらしいが、どうやらルービッックキューブは初めてらしい。

ルービッックキューブを通じ急速に二人は惹かれあっていく。

モールス符号で壁越しに意思を伝えあえると考えたオゥエンは学校で写し取って持ち帰るが、いじめっ子に見とがめられ怪我をして帰って来る。
喜々としてモールス符号の説明をするオゥエンの傷に気がついたアビーに、学校でいじめられてることを打ち明ける。
「強くやりかえしなさい」と言うアビー。
「だって、相手は3人だよ... やり返してきたら...」弱気なオゥエン。

「私が守ってあげるから」とアビー。この言葉がラストの伏線になる。

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とまあ、痛風に耐える『モールス』オタクの見解ではあります。
                     ~ その3へ ~

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鈴木 豊

Author:鈴木 豊
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